ビフォーアフター失敗物件と裁判トラブルのその後!打ち切りの原因にも?

人気番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」の打ち切りはニュースになりました。「大改造!!劇的ビフォーアフター」の終了の陰には裁判などのトラブルがあったと噂されています。いったい「大改造!!劇的ビフォーアフター」の打ち切りにどういった裏事情があったのでしょうか。

ビフォーアフター失敗物件と裁判トラブルのその後!打ち切りの原因にも?

目次

  1. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」とは
  2. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」第一シーズン
  3. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」第二シーズン
  4. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の魅力
  5. なぜ「大改造!!劇的ビフォーアフター」は打ち切りになったのか
  6. 社会情勢の変化で「大改造!!劇的ビフォーアフター」が打ち切りに
  7. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の打ち切りには番組をめぐるトラブルも
  8. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその1:アキレス腱を切る家
  9. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその2:施工費用の未払い
  10. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその3:レストハウス改修案
  11. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその4:茅ヶ崎市の欠陥住宅
  12. トラブルが起こる原因の一つは施工費が依頼者負担であること
  13. 「匠」にデザイン料が支払われないのもトラブルの原因
  14. 演出上の都合もトラブルのもとに
  15. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の功罪
  16. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」で依頼者に好評だった回
  17. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の特別番組「アフターアフター」
  18. 「アフターアフター」からわかること
  19. 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の悪い面ばかり言われがちだけど
  20. これからは「大改造!!劇的ビフォーアフター」は特別番組に

「大改造!!劇的ビフォーアフター」とは

「大改造!!劇的ビフォーアフター」は住宅リフォームを題材としたテレビ番組です。今ではよく見られる「ビフォーアフター」という言葉もこの番組をきっかけとしてよく知られるようになり、すっかりおなじみになりました。今回第二シーズンレギュラー放送の打ち切りにあたって、どのような番組であったか少しだけ振り返ってみます。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」第一シーズン

「大改造!!劇的ビフォーアフター」は2002年からテレビ朝日系列で放映が開始され、その後2006年で第一シーズンが終わります。この時社会ではアスベスト問題がニュースになっており、アスベスト関連法が施工された結果建物の調査および分析に時間がかかるようになりました。それにしたがい工期が長くなったため第一シーズンは終了します。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」第二シーズン

「大改造!!劇的ビフォーアフター」は2009年から再び第二シーズンとしてレギュラー放送を始めました。その第二シーズンも2016年11月27日の放送を最後として打ち切りになります。では、「大改造!!劇的ビフォーアフター」はなくなるのでしょうか。そんなことはなく、レギュラー放送終了以降は不定期放送の特別番組になるようです。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の魅力

「劇的!!ビフォーアフター」の魅力はどこにあったのでしょうか。それは構成の面白さにあったのではないかと思います。番組前半に示された住宅の問題を専門家の設計で解決するさまは見ていて気持ちの良いものでした。新しく生まれ変わった住宅に驚く住人の方々を見ていると、プロの技術のすばらしさを実感できる内容となっていました。

なぜ「大改造!!劇的ビフォーアフター」は打ち切りになったのか

好評を博していた「大改造!!劇的ビフォーアフター」ですが、なぜ打ち切りになってしまったのでしょうか。打ち切りになった理由ははっきりとはわかっていません。しかし、その理由について様々な推測がされています。打ち切りの理由の推測でよく見られるものとして、社会情勢の変化とトラブルを抱えたことの2種類が挙げられます。

社会情勢の変化で「大改造!!劇的ビフォーアフター」が打ち切りに

社会情勢の変化につれて、番組側がリフォームを請け負ってくれる工務店や十分な工期を確保できなくなったことが原因の一つとして挙げられます。以下に引用した記事によると、東京五輪と東日本大震災による影響によって建設業者およびリフォーム業者の確保が難しくなったことが打ち切りの原因となっていたようです。

「震災復興に伴い、建設業者やリフォーム業者が東北に向いています。加えて、東京五輪に向けた建設ラッシュが始まっており、番組で業者を集めるのが困難になってきました。(中略)かれこれ5年ほど前から、番組内で発表する工期に狂いが生じるリスクが高まっており、週1回のレギュラー放送の継続は困難と考えました」

東スポWEB 2016年11月27日

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の打ち切りには番組をめぐるトラブルも

「大改造!!劇的ビフォーアフター」のレギュラー放送打ち切りに関するもう一つの理由として、番組内でのトラブルが挙げられます。はっきりと述べられてはいませんが、裁判などが打ち切りの原因の一つになったのではないかと言われています。ニュース番組などでニュースとして取り上げられたものもあるため、知っている方も多いかもしれません。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその1:アキレス腱を切る家

こちらの事件はこれまでにもテレビや新聞でのニュースとなり、インターネット上のニュースサイトでもたびたび取り上げられたため知っている方も多いかと思います。「この事件は番組内でのリフォーム失敗の代表例のように扱われ、多くのウェブサイトで取り上げられています。リフォームの失敗がもたらす結果がよくわかる例と言えるでしょう。

番組の概要

2009年11月1日の放送回で、「アキレス腱を切る家」と題して東京都中野区のある住宅のリフォームが放映されました。住宅の特徴は以下の引用の通りで、依頼者の中薗氏は最大70cmにもなる段差に生活上の困難を感じていたため番組を通して解決を試みました。段差によって中薗氏の家族がアキレス腱を切った出来事がタイトルになっています。

■傾斜地に建つ二軒の家を無理矢理リフォームで繋いであるため、合わせて110cm以上の段差が家の中にある■部屋間を移動するのにも段差があり、依頼者の奥さんはアキレス腱を切ったこともある■2階には、もっとも大きい高低差70cmの絶壁のような段差がある、など

「大改造!!劇的ビフォーアフター」ホームページより

担当した匠

「匠」とは番組内で使われるリフォーム担当者への敬称になります。本件の担当者は滝澤俊之氏でした。滝澤氏は一級建築士資格の保持者であり、番組内では「空間方程式の芸術家」という二つ名で紹介されています。滝澤氏は「第2回住まいのバリアフリーコンペティション2007」で最優秀賞を獲得する実力の持ち主でした。

番組中の解決

番組では滝澤氏の設計のもとに工事が行われます。「匠」はマレーシア出身の奥さんのためにマレーシアの意匠を取り込んだり、空間を活用するために全体的に手を加えました。しかし、依頼者にとってはリフォーム失敗と受け取られてしまったようです。どのようなものであったかは、J-CASTテレビウォッチングニュースを引用します。

できた家に入って中薗氏はビックリ仰天する。70㎝の段差はそのまま残り、外壁の色が違い、二階の部屋は狭く暗くなるし、1階は以前より寒くなってしまったというのだ。

2010年10月28日付

番組によるリフォームの結果、段差の解決はされなかったようです。70cmの段差はそのまま残っていたため、暮らしにくさは以前と同じであったようでした。しかも、部屋の間取りも狭くなり、部屋の中も以前より暗くなってしまったようです。依頼者の中薗氏は結果をリフォーム失敗ととらえ、かなりの不満を感じたようです。

裁判へ

リフォーム内容に納得できなかった中薗氏は日本建築検査研究所の岩山健一氏に調査を依頼します。調査の結果、岩山氏は以下の引用文のように結果を出しました。調査結果を受けた中薗氏は週刊文春に告発したのち、裁判に踏み切ります。判決は2017年5月現在まだ出ていないようですが、番組にとっては厳しい結果になるのではないでしょうか。

「リフォーム以前の建物より、品質が悪くなっているという点。基礎、耐力壁、断熱、防火など、あらゆる箇所で瑕疵が見受けられます」

2010年10月28日付

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「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその2:施工費用の未払い

こちらの事件もニュースになり、たびたびニュースサイトで取り上げられています。この事件はリフォーム失敗が原因となった前の事件とは異なり、リフォーム後の対応による失敗例です。本件は番組と工務店の間に生じたトラブルとなっていました。内容は番組から工務店への予算超過分である2900万円が支払われなかったというものです。

放送回

トラブルのもととなったのは2014年7月27日放送の「孫がハイハイできない家」の回です。リフォーム前の住宅の様子は以下の引用文のとおりです。要約すると生活スペースが足りないことが主な問題になっており、番組を通じて新しくリフォームされました。リフォームの結果は好評でした。しかし、問題は番組の制作後に浮上します。

■もともと喫茶店だった部分で生活していて、1階では土足のままの必要がある■家の外壁は無数の亀裂が入っており、強度の確認が必要■家の外に駐輪スペースがないため、バイクと自転車は室内に入れなければならない、など

ウェブアーカイブを使用して2014年8月11日付の記録より引用

事件の概要

番組は無事に終わり住人側からの不評はありませんでしたが、施工した建築店とのトラブルが起きました。それというのも、番組で行ったリフォームが予算内に収まらず、超過分が発生したからでした。超過分については番組側から担当した工務店に支払われなかったため、工務店が未払い分の支払いを求めて名古屋地裁に提訴し裁判となりました。

担当した匠

番組中で「匠」を務めたのは浅井裕雄氏になります。浅井氏は一級建築士であり、裕建築計画という建築事務所を開いています。裕建築計画は名古屋を中心として愛知・長野・岐阜・三重で活動しています。浅井氏もそれらの地域の建築物を多く手掛けており、好評を得ているようです。この裁判には浅井氏は関係していません。

裁判の判決はまだ先

こちらの裁判は2017年5月現在まだ判決が出ていません。判決が出れば、やはり番組にとってマイナスの結果となることが予想されます。2900万円分の未払い費用をめぐって今後この裁判にどのような判決がなされるか気になるところです。住宅リフォームは建築費用も大きいだけにいざトラブルになると大事件になりやすいのかもしれません。

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「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその3:レストハウス改修案

この事件を扱ったニュースは西日本新聞、朝日新聞、毎日新聞などで取り上げられました。インターネット上のニュースサイトでも多くのところで取り上げられていますが、知名度は上記の2件ほど高くはないようです。この事件は計画段階で番組がレギュラー放送打ち切りを迎えてしまったため、計画も中止になりました。

事件のはじまり

2015年9月20日の放送回で長崎県平戸市にあるレストハウスのリフォーム企画が放映されました。このときの放映は予定されていた企画の宣伝であり、もし行われていれば番組初の公共建築リフォームとなる予定でした。平戸市側からの応募だったこともあり、番組としては一大企画として放映したかったのかもしれません。

どのような建物なのか

平戸市のレストハウスは平戸城の隣に位置しています。建築年は1983年で、地上1階地下1階の構造で延べ床面積は779平方メートルでした。テナントとしてレストランと売店が営業していましたが、レストランは2015年1月に閉店し現在は売店だけが入っています。また、テナント以外には観光協会が入っており、観光案内所を兼ねています。

市側からの要望

レストハウスのリフォームを求めたのは当時の平戸市で文化観光部部長を務めていた人物だったといいます。市側はあまり使われていないレストハウスの活用方法として番組にリフォームをもちかけたようです。2016年12月にレストハウスの改修案が中止になるまで、市側はリフォームを推進していましたが賛成は得られませんでした。

問題となった部分

問題となったのは、予定される工費が計画よりかさんでしまう点でした。2015年9月20日の放映の際にリフォーム予算は1億5千万円として番組内で紹介されますが、2016年6月に当初のデザイン案のままでは約3億7千万円かかることが判明します。さらに、最も安い工費に切り替えても2億円以上かかることがわかりました。

平戸市議会の動き

リフォームをめぐって平戸市議会は2016年8月29日に委員7人による産業建設委員会を開きます。この時の委員会に番組内で「匠」を務める予定であった西浜浩次氏も参考人として出席します。西日本新聞の2016年9月26日付の記事によると、市側は「思い切った提案でないと名所にはなりにくい」と当初の案のまま進めることを提案しました。

話し合いはまとまらず

しかし、反対の声は強かったようです。8月29日の話し合いでは市は工費の異なる修正案4件と新築案1件を出しましたが、けっきょく委員会からは再考を求めるように促されました。8月29日の話し合い以降も繰り返し平戸市議会のなかで討議がなされていましたが、高額な工費のためにまとまることはありませんでした。

リフォーム中止へ

2016年12月2日付の毎日新聞によると、長崎県平戸市の黒田成彦市長が1日に定例会見を行い番組に合わせたリフォームを中止することを述べました。同記事によると問題はやはり高額な工費だったようで、リフォーム予算として1500万円を計上したうえで、あらためてリフォームを西浜浩次氏に頼みたいと結んでいます。

その後のリフォーム予算も認められず

その後、12月20日に行われた平戸市議会でレストハウスのリフォーム予算として計上されるはずだった1500万円の削除を盛り込んだ修正案が可決されます。「番組の終了で計画は白紙になった。設計の経費は直ちに必要ではない」(毎日新聞12月21日付の記事より)という意見が議会によるおもな反対の理由でした。

事件の原因その1:工事予算の見積もり間違い

以上の事件の原因の一つとして、工事費の見積もり間違いが挙げられます。もともと1億5000万円と見積もっていた工費が3億円以上にまでふくらんだのは、市側で水道費や光熱費の計算をしていなかったためと解説されています。豪雨災害の影響で番組が繰り上げ放送されたため、市は概算を急いで伝える必要があったと説明しています。

事件の原因その2:デザイン性

「匠」を務めた西浜浩次氏は、レストハウスの屋根に芝生を張って草屋根にする案や屋根まで届くエレベーターを構想に入れていたことがわかっています。デザイン性の高い施工案にした結果、工費が高くついたことが考えられます。ちなみに、風が強い時期があるため年中屋根に上ることは難しいとして議会側から反対意見が出ています。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」のトラブルその4:茅ヶ崎市の欠陥住宅

こちらの事件は第一シーズン期に出演した「匠」が関係した事件で、東スポなどによって報道されニュースとなりました。この事件と番組は直接関係はありません。この事件は番組に出演した「匠」が起こしたもので、実際に番組中で起きたものではないからです。番組で「匠」の知名度が高まった結果起こった事件なので取り上げました。

事件の概要

2009年9月に神奈川県茅ヶ崎(ちがさき)市に住む男性が一級建築士の設計および建設した住宅に欠陥があったとして神奈川地裁に提訴した事件です。事件は2013年6月に原告となった男性が勝訴するかたちで確定しました。この時設計および建築した一級建築士は「大改造!!劇的ビフォーアフター」で「匠」を務めた人物でした。

事件のはじまり

問題を起こした一級建築士は2004年に放映された「大改造!!劇的ビフォーアフター」に出演しており、男性は番組を視聴して一級建築士を知ったのちリフォームの相談を行いました。相談すると新築を勧められたので、依頼者の男性は一級建築士に設計と建設を頼み2007年9月に住宅は完成します。しかし、完成した建築物には欠陥がありました。

できあがったものは欠陥住宅だった

いざ住宅が完成すると、住宅の欠陥に男性は悩まされるようになります。たとえば、地下室の外壁の防水が完全ではなかったために地下室に大量のカビが繁殖するようになりました。下水も二回逆流したことがあったといいます。男性は2008年の秋に建築検査研究所に住宅の検査を依頼し、結果を受けたのち2009年9月に損害賠償を求め提訴します。

裁判の判決

2013年6月に裁判は男性の勝利というかたちで確定します。確定とは法律用語で、その事件について控訴も上告もできずそれ以上争えなくなることを言います。どのような判決が出たかは、裁判の時に男性に協力した岩山健一弁護士のブログ「コラム欠陥住宅の基礎知識」(2013年6月6日付)で次のように述べられています。

原告に対し、連帯して3840万4016円およびこれに対する平成19年9月24日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払えというものである

2013年6月6日付の記事

判決は甘いかもしれない

岩山弁護士は同記事の中でこの判決について、「8千万円もの高額な建築費用を取られていて、金利合計しても約5千万円程度の賠償金額なので、まだまだ甘いといった感も否めない」と感想を書いています。岩山弁護士の記事によれば差し引き3000万円程度の損害が生まれているため、少なくない損失が生じているわけです。

設計および建築したのは誰なのか

いったい男性が建築を依頼した一級建築士とは誰なのでしょうか。上記の東スポの記事によると2004年9月19日に出演した一級建築士となっており、該当する人物は三澤護氏になります。三澤氏が開業している建築設計会社「建楽工房」のホームページには「大改造!!劇的ビフォーアフター」出演記録は残っていません。

トラブルが起こる原因の一つは施工費が依頼者負担であること

番組の中で行われたリフォーム費用は全て依頼者が負担します。番組の最後に表示される金額を依頼者から工務店に払うかたちになるようです。番組側では廃材を利用するなどしてできる限りコストを抑えようとしています。しかし、依頼者が少なくないお金を払っていることは変わらず、期待と違うものができるとトラブルになる可能性があります。

「匠」にデザイン料が支払われないのもトラブルの原因

「匠」に払われるデザイン料はゼロ

依頼者からも番組側からも「匠」へのデザイン料は支払われません。番組への出演料などは支払われているかもしれませんが、「匠」はデザイン料ゼロで設計をしなければいけません。では、どうして建築家は頼まれて「匠」になるのでしょうか。それは宣伝になるからです。番組に出演して知名度が高くなれば、仕事の依頼も増えるようです。

悪く言えば「匠」の実験場になりがち

「匠」はできることを番組内で示さなければ宣伝にはなりません。そのため、見栄えの良さを重視して実用性が後回しになりやすいといいます。実用性から離れたデザインを作り、依頼者から失敗と見られればトラブルにつながるのかもしれません。もっとも、デザイン性が重視されるのは後述する演出上の理由も関係しているかもしれません。

演出上の都合もトラブルのもとに

「アキレス腱を切る家」では二回しか打ち合わせが行われなかったことが問題となっています。これは依頼者がリフォーム後の住宅に驚く映像をとる必要があるため、テレビ局側はあまり完成イメージを伝えたくなかったためでしょう。番組内では完成まで依頼者が住宅を見ることができず、その結果要望と違うものができる可能性が出てきます。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の功罪

以上、「大改造!!劇的ビフォーアフター」にまつわるトラブルをお伝えしてきました。しかし、ビフォーアフターはリフォーム失敗などの問題ばかりを起こす手抜きの番組ではありません。それを示すために新日本プロレスのリフォーム回をお伝えしたいと思います。この回は依頼者からの評価も高かった放送回として知られています。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」で依頼者に好評だった回

タイトルは「闘魂燃え尽きそうな寮」(2013年6月2日放映)です。老朽化がすすんだ新日本プロレスの寮を番組でリフォームするという内容でした。依頼主はプロレスラーの獣神サンダーライガー選手です。もともとはアントニオ猪木選手の自宅だった建物を寮として使っており、年月を経るうちに不自由な点が出てきたため番組に依頼したのでした。

建物の問題点

新日本プロレスの寮はおもに老朽化という問題点を抱えていました。鉄骨がさびていたり、手をつくと穴が開くほど壁がもろくなっていたのです。寮生が増えていたこともあって全体的に手狭になっていたのも問題の一つでした。また、外から丸見えになっていた部分もあり、覆面レスラーにとっては命取りとなる状況もありました。

リフォーム

リフォームした後、新日本プロレスの寮はそれまでとは全く違った姿になりました。内部はプロレスのリングをイメージした空間に作り変えられ、それまでよりもずっと快適に過ごせるようになったということです。その出来栄えは寮生であるプロレスラーたちが喜びをあらわにし、獣神サンダーライガー選手も感涙を浮かべるほどでした。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の特別番組「アフターアフター」

アフターアフターとは

「大改造!!劇的ビフォーアフター」のその後を描いた「リフォームその後アフターのアフター」(以下アフターアフター)という番組についても説明します。こちらは2009年5月31日から2012年7月15日まで特別番組として放映されていた番組で、番組本編でなされたリフォームがその後どのような使われ方をしているかを報告しています。

「アフターアフター」の具体例

2012年7月15日に放映された「「6畳に孫7人が寝る家」(2011年3月20日放送)その後…」では「匠」がリフォームした内容がその後十分に機能していたことが確認できます。住宅には住人自身で改良がくわえられ、より居心地よさそうになっていました。アスレチック遊び場など「匠」のリフォームした部分も続けて使ってもらえていたようです。

もっとも、使い勝手のいいリフォームばかりではない

そうはいっても、つくった物は番組内で完成したままではありません。例えば、2012年7月15日放送の「「泥まみれの庭」(2011年12月25日放送) その後…」では遊び場の土がむき出しになっていた保育園に芝を貼ってあげていました。その芝は半年余りではげてしまい、「匠」が「アフターアフター」でまた貼ってあげる必要がありました。

「アフターアフター」からわかること

こらした技巧を持て余す

「大改造!!劇的ビフォーアフター」で作られる建物は毎回「匠」の創意があふれる機構に満ちています。創意あふれる機構は目を引きますが、ライフスタイルが変わると邪魔になるのかもしれません。「裸で玄関を出る家」(2009年3月22日放送)のその後では、ピアノを置いたため「匠」の用意した機構が使えなくなった場合がありました。

保守管理の手間が増える

また、「匠」のデザインによってその後保守管理の手間が増えることも問題となると思います。前述した幼稚園の芝生も忙しい仕事の合間に張り替える手間が出てきてしまうし、芝生の代金もかかるかもしれません。リフォームの結果、もしも時間的および金銭的コストによってその後持ち主を圧迫するなら失敗と言われる可能性もあると思います。

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の悪い面ばかり言われがちだけど

「大改造!!劇的ビフォーアフター」の失敗点をここまで解説してきました。ビフォーアフターが手掛けてきた物件の中に失敗やトラブルがあったことは否定できません。しかし、番組自体が失敗であったとは言えないはずです。番組の悪い面ばかりが取り上げられがちですが、好評を受けたリフォームもあったことが証拠となると思います。

これからは「大改造!!劇的ビフォーアフター」は特別番組に

「大改造!!劇的ビフォーアフター」のレギュラー放送は終了したため、これからは特別番組としての制作が中心になります。以上紹介したトラブルの判決はこれから出るため、番組が今後どうなるかはわかりません。判決次第では番組に大きなマイナスになることも考えられるでしょう。その時の番組側の対応が気になるところです。

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